この星の中
 





だれかと心で繋がりたい、ひとと深く繋がりたい。

私にとって写真を撮るということは、日々の生活の中では満たされない欲求をすこしでも満たすために必要な行為だった。

はじめてきみを見たとき、いいなと思った。

かわいくてちいさくて、ひたすら懐くきみが猫みたいで、ねこちゃんって呼んでいた。

シャッターを切るたびに、愛おしくて、かなしかった。うれしいとかたのしいとか、そういうのが全部おなじだったらいいね。

ねこちゃんはいつしか私の背を越して、少年に変化していった。きみは少しずつ、私の手の中には収まらなくなっていく。

撮ることは私の中にある冷たさを知ることだった。
きみの機嫌が悪くても泣いていてもカメラを向け続けるということは暴力的で残酷だと思った。私もくるしかったんだよ。

けど、私は写真がないときみと繋がれないから、どうすることもできなかった。

いつからか、私は写真の中のきみが好きということに気づいて徐々に撮れなくなっていった。

近づいたり離れたりする心は、どうなるんだろう。
私はただ、きみのこと、大事にしたかった。